自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

離島に移住して仕事をする、フリーランスの生き残り戦略

離島経済新聞社が発行している、日本唯一の有人離島専門フリーペーパー『季刊 リトケイ』。僕が定期的に読んでいて、発刊を楽しみにしているフリーペーパーです。

 

最新号では「在島ワーカー(=離島でテレワークをしている人)」を特集していたのですが、その中にとても興味深いエピソードが掲載されていました。「男木島図書館」という私設図書館をつくられた、フリーランスのウェブデザイナー 額賀順子さんの記事。その記事の中に、こんな一節があったのです。

『フリーランスであれば小さな島でも仕事はできるが、クライアントがいなければ稼ぎを得ることができない。しかし、額賀さんは意外にも「島に来てからの方がクライアントが増えた」という』(季刊リトケイ vol.25)

 

額賀さんのお仕事のクオリティを知らずに、失礼極まりないことを書くと、額賀さんと同レベルのクオリティで仕事ができて、もっと近い距離で活動している人は、少なからずいるはずです。お仕事をくれるクライアントの周辺には、額賀さんよりもレベルの高い仕事をするウェブデザイナーもいるかもしれません。

 

それでも、額賀さんは仕事が増えたのです。
なぜか?

 

僕は、「面白そうなストーリーを持っているから」だと思います。
仕事を受けるのも人間であれば、仕事を依頼するのも人間です。会社からどんなに結果を求められていても、利益だけを追求する仕事をしたくないのが、人間です。楽しく仕事がしたいし、楽しい人と仕事がしたい。額賀さんには、男木島図書館をつくったり、離島で暮らすフリーランスという“めちゃめちゃ面白そうなストーリー”がある。

 

だから、スキルも仕事のクオリティも大事ですが、クライアントの担当者は、面白いそうなストーリーを持っている人を選びたくなる。
僕も前職でさまざまなクリエイターの人に仕事を依頼していましたが、スキルだけで選ぶことはなく、時にスキルが劣っている人を選ぶことがありました。なぜ? そう、面白そうなストーリーを持っていたから。

 

ニッポン手仕事図鑑に映像制作の仕事を依頼してくれるクライアントも、周囲に僕らと同レベル、いや、それ以上のレベルで映像を制作する制作会社やクリエイターがいる。でも、“あえて”僕らにお願いをしてきてくれる。
それは、ニッポン手仕事図鑑が、そして僕らのチームの映像クリエイターのストーリーに興味を持ち、魅力を感じてくれていて、「こいつらと一緒に仕事をしたら、楽しそうだ!」と思ってくれているから。

 

今の時代、僕らが持つべきは、高いレベルのスキルだけではダメです。面白そうな“自分の”ストーリーを持つことも、ひとつの生き残り戦略なのです。