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地方から若者が離れていくことを止められない理由

多くの地方自治体は今、「地元の若者が、地元から出ていかないような、残りたくなるような魅力的な町をつくろう!」と本気になっています。

 

でも、たぶん厳しい…。

 

なぜなら、ほとんどの町の大人たちが、「若者は町を出ていったほうがいい」と思っているから。
私もここ最近、秋田、長野、神奈川、和歌山、新潟、青森など、仕事でいろいろな地域へ行き、地元の方とお話をさせていただく機会が増えましたが、そんな本音を聞かせていただくことが少なくありません。

 

地方自治体の職員たちは「若者が出ていかないためにはどうすればいいか?」と考えているのに、でも周辺の大人たちは「そりゃ、残ってもらいたいけど、ここに残っていても、何も学べないし、未来は明るくない…。町に残って苦労するくらいなら、外に出ていったほうがいい…」と考えている。このミスマッチが続く限り、若者を地元に残そうと活動をしても、きっとうまくはいきません。

 

どちらも、間違ってはいません。

 

で、私の考えはどうかというと、正直、1度は出たほうがいいと思っています。やっぱり都会がいい! というわけではなく、1度よそ者になってみて、“地元を外から眺めた”という経験が、それぞれの地方の未来には欠かせないものになるからです。
だから、出ていくことを止めるのではなく、1度出て行っても「いつか戻りたい!」と考える若者が“実は意外と多い”のだから、そんな若者が「よし、そろそろ戻ろう!」と思えるような町づくりをしたほうがいい。

 

では、そのためには何が必要か?
私は「上っ面な情報発信を止めること」だと思っています。

 

正直、地方自治体の企業誘致の活動で、うまく行っているケースは少ない。それは上っ面の情報発信で終わってしまい、いいこと、悪いことのどちらも、深いところまでアウトプットしていないからです。
その一方で、とある企業の地方進出の話を聞いた経営者の方が、本気で地方進出を考えるという連鎖は、実は結構あったりします。なぜなら、いいことも悪いことも、徹底的に深いところまで話を聞くことができているからです。

 

地元に戻ってきて、起業した若者。
地域おこし協力隊として、そのまま町に残った若者。
サテライトオフィスを軌道に乗せた企業。

 

若者が戻りたいと思える町づくりにつながる財産は、それぞれの地域に少なからずあったりします。
でも、それが続かないのは、上っ面の情報発信で終わるからです。地方自治体のパンフレットでよく見かけますが、数ページで何かを伝えようとしても、何も届かないし、心には何も残らず、響かない。それを認めて、深いコミュニケーションを考えることが、若者が戻りたいと思える町づくりの第1歩だと思います。