自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

ライバルの足を引っ張ることは、自分の足を引っ張ることにもなる

少し前に、こんなことがありました。
私たちはある職人さんの取材をしていたのですが、取材していたまさに同じ日に、ニッポン手仕事図鑑のお問い合わせフォームに、匿名である情報が寄せられました。

 

内容をひと言で書くと、「私の知り合いのような“被害者”を増やしたくない。泣き寝入りすることになるから、“その職人”とは取引をしないほうがいい」という内容でした。
連絡をくれた方は、直接被害を受けた張本人ではなく、第三者の立場の方。そこには、私たちが取材をした職人さんに、どれだけの人が裏切られたか、について書かれていました。

 

正直、ドキッとする内容でした。

 

ただ読み進めていくうちに、そこに書かれている内容には、おそらく書き手も気づいていないであろう“不自然さ”がいくつかありました。100%断言することはできませんが、競合他社からの可能性が高い。その後、その推理がほぼ確信に変わる出来事もありましたが…。

 

もしかすると、ニッポン手仕事図鑑が応援することで、ライバルが優位に立ってしまうかもしれないと、脅威に感じたのかもしれない。それはそれで、正直嬉しかったりもします。少しは影響力があると認めてもらえたわけですから。でも、職人の世界は今、ライバルを蹴落とすよりも前に、まずは業界全体を盛り上げていかないと生き残っていけない。それをわかっているはずなのに…。だから、とても悲しかった。

 

正直、書かれていた内容について、私はすべて嘘だとは断言できません。裏付けを取るつもりもありません。だから、次のようなメールをお送りさせていただきました。

(前略)
見ず知らずの弊社のことをご心配いただき、
本当にありがたく思います。

◯◯さまからお伺いしたお話につきましては、
正直、私たちは事実関係を調べる術もありませんし、
お知り合いの◯◯様と◯◯様との過去のお取引について、
偉そうに何か口を出せる立場でもありません。

ただひとつだけ言えるとすれば、
私たちには、職人さんを信じます。
というより、信じることしかできません。

応援したい職人さんを疑うことほど、
悲しいことはありません。

その結果、裏切られることがあったら、
それは誰のせいでもなく、自分たちの責任です。

という姿勢で弊社は取り組んでおりますので、
私たちは私たちのスタンスで、
全国の職人さんと真摯に向き合っていきたいと思います。

改めて、この度は私たちのことをご心配いただき、
本当にありがとうございました。
(後略)

疑うのは楽です。信じるほうが難しい。でも、信じられないのなら、応援することなんてやめたほうがいい。私たちはひとりの職人さんを持ち上げるつもりはなく、その職人さんが頑張る業界全体を盛り上げていきたい。

 

確かにライバルとは、マーケットを奪い合う関係です。でも、業界を一緒に盛り上げていく仲間でもあるはずです。職人は、個人で生き残っていくのは難しい。だから、業界を“盛り下げる”ような足の引っ張り合いは、してほしくないと心から思います。