自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

「差別化」という言葉に、たまに感じる違和感

ニッポン手仕事図鑑を立ち上げてから、いろいろな企業の方とお話する機会が増えました。
いきなり本題から逸れますが、ニッポン手仕事図鑑を立ち上げていなければ、今年はこんなにたくさんの出会いはなかったな、と。ここ最近よくお話をさせていただいているのですが、中小企業が大きなお金をかけず、世の中で知名度を上げて、新しい出会いやチャンスと巡りあうためには、名刺代わりになるメディアが効果的です。「オウンドメディア」という言葉がようやく浸透してきましたが、来年はもっとそんなお話をする機会が増えそうです。

 

さて、本題に戻ります。
規模の大小や業種を問わず、さまざまな企業とお話をさせていただく中で、以前よりも「他と違うことをやらなければダメだ!」というフレーズをよく聞くようになった気がします。それだけ既存のビジネスモデルが厳しくなり、とはいえ新規ビジネスを立ち上げるにしても、その難しさを実感している人が多いのかもしれません。

 

「他とは違う」は、悪いことではありません。でも、“あること”が置き去りにされることが多くて、その言葉に違和感を感じることがあります。

 

どういうことか?
他と違うことをやろうと考えるのは悪くありません。ただ、人に喜んでもらうことが大前提です。その大前提がなくなってしまっている人が本当に多い…。会議でディスカッションを重ねた結果、「これは他にはない!」「他と違う!」と興奮気味に話しているのですが、冷静に「それって、人に喜んでもらえる?」「人が求めている?」と問いかけたとき、首を傾げざるを得ないものが少なくないのです。

 

手前味噌な話で恐縮ですが、ニッポン手仕事図鑑はこの1年間で応援してくれる人が増えて、注目をされるようになりました。制作した映像も評価をしていただいています。でも、とにかく他と違うことを! と強く意識したかと言えば、当然その思いはゼロではありませんが、それよりも何よりも、人に喜んでもらえることは何か? を常に考えてきました。むしろ、職人さんの映像をつくること自体は、珍しいことでもなく、他と大きく違うことではありません。ただ自信を持っているのは、それが職人さんにも一般の視聴者に求められているということ。これだけは断言できます。

 

他との差や、違いを出していくことは大切です。でもすべては、人に喜んでもらうという大前提があってこそ。喜んでもらえるかどうかが無視された「他と違うこと」なんて、誰も待ち望んではいないのです。