自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

「意味」を求めすぎると、仕事はつまらなくなる

今、とても大切にしている仕事のひとつに、某大手不動産会社さんの映像制作のお仕事があります。未来につながる実績になるのはもちろん、撮影現場に入るたびに大きな学びが得られるので、その仕事に携われることをいつも感謝をしています。

 

と、そんな話を誰かにすると、クライアントがクライアントなだけに「大手の広告代理店から仕事をもらっているの?」と聞かれたりするのですが、実はその仕事を私たちに任せてくれているのは、若くしてひとりで会社を立ち上げた人だったりします。社員はずっと自分ひとり。それなのに、よくここまでの大手企業に入り込めているよなぁと、会うたびに関心していました。

 

キャラクター的にも、この人はこれからもずっとスタンスを変えず、ひとりでやっていくんだろうなぁと思っていたのですが…。

 

その人が今日、「ついに、社員を雇用したんです」と嬉しそうに話してきたのです。
驚いて「えっ、どんな人ですか?」と聞いてみたところ、「これ、そのアートディレクターがつくったんです」と、うれしそうに1枚のパンフレットを見せてくれました。優秀な人が選びに選び抜いた人は、やっぱり優秀なんだなぁと。とても素敵なパンフレットでした。

 

前置きが長くなってしまいましたが…。
ついさっき、改めてゆっくりとパンフレットを眺めていたら、3本の木をモチーフにしたロゴの中に、メッセージ=4文字のカタカナが隠されていることに気づきました(キリンラガービールのラベルに「キリン」の文字が隠されているような感じです)。気づく人は気づくし、気づかない人には気づかない。

 

そのとき、ドキッとしてしまいました…。

 

こういうデザインを見せたとき、「いいとは思うんですけど、これ、意味あります?」という反応をする人と、「こういうの、何かいいですね」と反応する人にわかれます。この記事をお読みの皆さんは、どちらの反応をするでしょうか?

 

手がけたアートディレクターは「話題づくり」や「拡散するネタ」という“狙い”がありながらも、でもそれ以上に、見つけた人が「ちょっと嬉しい」と感じてくれたら、それが嬉しい! という気持ちを持っていました。歳を取り、経験を重ねていくと、意味や理由を求めすぎるようになりますが、これをつくったのは、私よりも年齢が上の人。「こういう遊び心、最近忘れてない?」と自問自答したとき、すぐに否定できない自分がいたので、ああ、これはヤバいな、と…。

 

「ちょっと嬉しい」を提供できる人に仕事が集まるし、「ちょっと嬉しい」を提供することを忘れて、意味や理由、直接的な成果を求めすぎると、仕事はつまらなくなる。仕事がつまらないという人の仕事には、当然誰も魅力を感じない。
誰かの遊び心に触れたとき、瞬発的に意味や理由を求めず、「こういうの、何かいいですよね」と、ずっと思い続けられる自分でいたいと、改めて思った1日でした。