自分の仕事は、自分でつくる

多くの仕事がなくなる10年後を生き抜くためのヒント

知識は、新鮮な発想を奪っていく。だから「よそ者視点」を忘れずにいたい


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ここ最近の仕事において、私がもっとも大切なテーマが「よそ者視点」です。
今日は「よそ者視点」を忘れないための、自分なりの“ちょっとした方法論”を書いてみたいと思います。

 

その前にまずは、なぜ「よそ者視点」が重要なのかについて。
以下は「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれたデザイナーである佐藤オオキさんが、ロッテの「AQUO」というガムのパッケージデザインを担当したときの話について、著書で書かれていた一節です。

(関係者の方々の)意見に耳を傾けていると、私自身「業界の事情」に詳しくなり、うっかり「今までのガムとそう変わらないデザイン」に近づいてしまいそうになります。
 実際、すでに世の中に出ているものはなかなか合理的にできているもの。バランスがよく、収まりがいいのです。「業界の事情」を汲み取れば、着地点が既存の商品に近づくのは自然なことともいえます。
 しかし、「人の心に刺さる、どこかに引っかかりのあるデザイン」を生むためには、そのバランスを無視する必要があります。そこで重要なのが、子供のように何も知らない状態に自分を持っていくことです。


ガムのパッケージに関わる関係者には、社内の商品開発の担当者もいれば、営業マンもいます。外部には広告代理店や印刷会社もいる。そういった方々の意見は過去の経験から導き出されているので、とても貴重です。ただ、自分の中にその意見や知識を入れていくと、考えるデザインは当然今までの成功した事例に近づいていきます。そうすると、消費者は新鮮さも面白さも驚きも感じず、商品の売上げは上がりません。

 

これは、私が今現在進めている地方自治体の移住促進、観光客誘致はもちろん、企業の販促、ブランディング、採用活動などの仕事においても同様です。
知識を頭の中に入れるほどに、よそ者ではなく、“関係者の視点”になってくる。そうなると、“業界の当たり前”に流されそうになったり、無難なものに落ち着きそうになってしまう。そうなると、成果は期待できない。

 

もちろん、今までにないものであればいい、というわけではありません。
ただ、情報を受け取る消費者は「オッ!」という発見があるから興味を持ち、そのあとに「いいね!」と共感するから、心と体が動く(=購入したり、旅行に行ったりする)のです。だから、提供する情報(企画やデザイン、機能やサービスなど)には、新鮮さがなくてはなりません。「よそ者視点」がない状態で企画やデザインを考えると、発想に新鮮さがなくなるので、「よそ者視点」が大事なのです。

 

では、どうすれば、「よそ者視点」を失わずにいられるか? 佐藤オオキさんの言う「子供のように何も知らない状態に自分を持っていく」ことができるのか?自分の頭の中に知識が入ってきてしまう以上、とても難しいのですが、私はこんなことをして抵抗しています。

 

それは「その仕事、プロジェクトに取り組み始めた日(時期)の自分の気持ち、感情を書き留めておく」こと。

 

「いいなぁ」と感じたこと、違和感を覚えたこと、「う~ん?」と首を傾げたこと、何か気持ち悪さを感じたことなど、まだ何の知識も入っていなかったときに感じたことを、書き留めておくのです。そのときの自分の新鮮な感情を日記のように書き留めておくだけで、「よそ者視点」を維持できて、新鮮な視点でいろいろと判断ができるようになります。佐藤さんが言われる「人の心に刺さる、どこかに引っかかりのある」企画やデザインを生むためには、自分が最初に感じた感情を忘れないことが、とても大切だと思うのです。

 

半年前、その仕事に取り組む前の自分が「ちょっとおかしくない?」と腑に落ちなかったことが、業界にどっぷりハマることで、半年後に「それが、この業界の常識なんです」と、平気で言ってしまっていることがあります。これはとても危険です。だから、仕事に知識は欠かせませんが、新鮮さな発想を奪っていくことを忘れてはいけないのです。


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